みじログ

お気に入りの風景やおすすめスポットなどを綴ります。

玉川上水の畔 『平櫛田中彫刻美術館』 (東京都 小平市)

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もう何年前になるだろう。テレビ東京の 開運!なんでも鑑定団 で、『平櫛田中(でんちゅう)』が取り上げられていて、なぜだかその作品と名前がとても印象に残っていた。玉川上水沿いに小金井公園へと向かって車を走らせていると『平櫛田中彫刻美術館』の看板を見つけた。「立ち寄りたいな。」ようやく実現できた。

5月の爽やかな風に誘われて、この武蔵野台地玉川上水を少し散歩してみることにした。川のせせらぎや木々のざわめき、野鳥のさえづりがとても清々しくて心地よい。彫刻家平櫛田中もよくここを歩いたに違いない。

平櫛田中彫刻美術館

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玉川上水のほとりにたたずむこの趣ある美術館は、国立能楽堂の設計で知られる大江宏さんが、平櫛田中98歳の時に建築し、107歳で生涯を閉じた田中の晩年の邸宅を保存したもの。別名「九十八叟院(そういん)」とも呼ばれるとのこと。作品を展示、保存する展示館を併設している。

展示館に入る。凛とした静けさがしっとりと落ち着く。音声ガイドを借りた。なんと iPad mini 。聞きたいところを聞きたい時に操作できてとてもいい。作品のガイド以外にも様々な情報が入っていて、手持ちのタブレットやスマフォでも聞くことができる。今ってどこの美術館でもそうなのかな。
一点一点じっくりと丹念に見つめてみる。
中国の故事や仏教説話を題材としたものが多く、躍動感あふれるリアルさの中に、田中の人柄をしのばせるやさしさや、思わず微笑んでしまうユーモラスな作品に数多く出会うことができた。
あの鋭くとがった彫刻刃から、どうしてこんなやわらかさや流れが表現できるのだろう。
また、木目を生かす木彫界の中で、色彩を用いることは嫌われていたらしいが、色彩にもチャレンジし、色彩を取り入れることで、木でできているとは思えない温もりを感じることができた。

展示館の見学を終え、田中の邸宅であった記念館に向かおうとすると、受付の方が声をかけてくれた。
展示室の作品は季節ごとに変わりますまた来てくださいね。」
「はい。必ず来ます。」
8月には館に鈴虫を放してナイトミュージアムを行います。」
「うわぁ。素敵でしょうね。」
「それから3月には雛人形を展示します。」
「平櫛先生のお雛様、是非見てみたいです。」
「日程につきましては、市外の方でしたらホームページをご覧ください。」
「はい。楽しみにしています。」

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約2メートルのクスノキの彫刻用原木。こんな大木を見つけ、乾燥させるのにどれほどの歳月がかかるのだろう。

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田中が愛したであろう庭園。年2回お茶会が開催されるとのこと。館内は撮影禁止とのことだが、庭園はOKとのことでパチリ!書院作りのとても趣のある邸宅だ。こちらの記念館でも田中が趣味で取り組んだ書や田中が収集した美術品が展示してある。

好奇心とバイタリティで日本の木彫界を支えた平櫛田中の作品、精神世界にふれ、堪能することができた。

 

小平市平櫛田中彫刻美術館公式ホームページ
〒187-0045 東京都小平市学園西町1-7-5
Tel&Fax:042-341-0098